はじめに
今回は、奥多摩の道の駅を回るつもりでした。
ところが調べてみると、奥多摩に道の駅はありません。それどころか、東京都に登録されている道の駅は「八王子滝山」のひとつだけ。そこはすでに訪問済みです。
というわけで、青梅街道(国道411号)で山を越えることにしました。都県境の先、山梨県丹波山村の たばやま と、隣の小菅村の こすげ。この2駅が今回の本命です。
そして、せっかく奥多摩を通るのだからと 日原鍾乳洞 も足しました。東京都内で、しかも奥多摩に、関東でも有数の規模の鍾乳洞がある。前から気になっていた場所です。天気が微妙な日でも、洞窟なら天候に関係なく成立します。
ルートを引いてみたら、もう1駅ついてきました。小菅から松姫トンネルで大月へ抜けると、都留の つる が帰り道に乗ります。行きは下道の山道、帰りは中央道。同じ道を1mも戻らずに3駅です。
日原鍾乳洞:まず道が試練
奥多摩駅(氷川)の先で青梅街道から分かれ、都道204号・日原街道に入ります。日原地区へ通じる唯一の道です。入口から鍾乳洞まで約10km、20分ほど。
この20分が、この日いちばん気を使った区間でした。しかも走っている間は雨です。1〜2車線と案内されていますが、日原の集落から先は実質1車線。道幅4m未満ですれ違いが難しい箇所が何度も出てきます。ガードレールの外は谷。行き止まりの道なので、詰まったら引き返すこともできません。混雑時には交通整理員が出るそうです。
対向車が来たら、どちらかが待避所までバックする。そういう道だと思って入ったほうがいいです。運転に自信がなければ、朝のうちに入るのが唯一の対策になります。
車を降りて受付へは、濡れた石段を下りていきます。この時点でもう苔と水の世界です。

料金は大人900円でした。事前に調べた時点では800円だったので、改定後だったようです。未就学児は無料。

橋の下を流れているのが日原川。水の色がそのまま石灰岩の色をしています。

見上げると、切り立った石灰岩の壁。この山全体が鍾乳洞の材料です。

洞内は約10℃
洞内は年間を通しておよそ10℃です。外の気温は20℃前後でしたから、入った瞬間はひんやりを通り越して普通に寒い。
私は半袖で入ってしまい、最初の数分は完全に後悔しました。
ところが、これが途中で逆転します。洞内は階段の昇り降りが延々と続くので、歩いているうちに体が温まってくるのです。中盤にはむしろちょうどよくなり、後半は半袖で正解だったと思うくらいでした。
つまり、着込んで入ると今度は暑くて脱ぐことになります。正解は、寒い数分をしのげて、途中で脱いで手に持てる薄手の1枚。動かない小さい子は別で、そちらはしっかり着せておいたほうがいいです。
そして、階段と急坂がとにかく多い。靴は滑りにくいものを選んでください。
ベビーカーは入れません。 小さい子を連れるなら抱っこ紐が前提になります。
そして受付では、抱っこ紐は前抱きではなく、背中(おんぶ)にするよう案内されます。これが正しい。中に入ると理由がすぐ分かります。
前に抱えていると、まず足元がまったく見えません。そのうえ重心が前に寄るので、濡れた急階段で前のめりに転ぶリスクが跳ね上がります。狭くて天井の低い箇所では、前の子を岩にぶつけないようのけぞることになり、それがまた危ない。
この洞窟は、背中でなければ回れません。 抱っこ紐で行くなら、おんぶできるタイプを持って行ってください。
洞内をひとまわり
入口はこれです。看板の下の、階段を下りた先の穴。ここから山の中へ入っていきます。

中に入ってすぐ、順路の全体図があります。旧洞と新洞をぐるりと回る構造で、名前のついた見どころが30以上。

序盤は天井の低い横穴です。頭上の岩が波打っていて、水が削った跡がそのまま残っています。

「階段が濡れますので足元に十分ご注意下さい」。注意書きが出てくるということは、そういう場所だということです。

実際の階段がこれです。段差も高く、常に水が流れています。

そして新洞へ入ると、空気が変わります。ライトアップです。

賛否あるでしょうが、私は好きでした。色が付くことで、岩の凹凸が一気に立体的に見えます。

高さのある空間に出ると、スケールがわかります。奥に見える階段の小ささが、この空洞の大きさです。

もちろん、鍾乳石そのものもあります。床から伸びる石筍。

天井から垂れ下がる鍾乳石。

「白妙峡」。洞内の見どころには、ひとつずつこういう名前が付いています。

信仰の場でもあります。石仏が並んでいたり、

岩肌に小さな社が据えられていたり。

「十二薬師」。十二体の鍾乳石を薬師如来に見立てたものだそうです。

出口が近づくと、照明のまわりだけ苔が生えています。光がある場所にしか生えられない。当たり前のことですが、地下で見ると少し不思議です。

出たら、みそ田楽
見学の所要は40〜45分ほど。出たあとは休憩所で一息つきました。みそ田楽が500円。冷えた体に味噌の焼けた匂いが効きます。

営業は4〜11月が9:00〜17:00(最終受付16:30)、12〜3月は9:00〜16:30。12月30日〜1月3日以外は無休です。
奥多摩湖を経由して、山梨へ
日原街道を戻って奥多摩駅へ。そこから青梅街道(R411)をひたすら西へ走ります。
30分ほどで奥多摩湖です。小河内ダムがせき止めた人造湖で、東京都の水がめ。堤高149mのダムの上は歩いて渡れますが、今回はそこまではせず、湖の入口にある駐車場で一息つきました。
その駐車場の脇に売店があって、わさび豚まんを売っています。奥多摩はわさびの産地です。買いました。

わさびの味は、確かにほのかにします。しますが、それだけです。鼻に抜ける刺激があるわけでも、豚まんの味が変わるわけでもない。普通においしい豚まんでした。
おいしいので損はしません。ただ、わさびである必然性は最後まで分かりませんでした。
ここからしばらく、R411は湖の北岸をなぞって走ります。左手にずっと湖、右手は山の斜面。カーブは連続しますが、道幅は日原街道とは比べものになりません。山道の緊張から解放される区間です。
湖には「麦山の浮橋」、通称ドラム缶橋という渡れる浮き橋があります。ただし渇水の影響で、2025年1月から通行止めが続いています。渡りたい人は事前に確認してください。
湖の西端、深山橋が今回のルートの分かれ目でした。橋を渡ればR139で小菅村、直進すればR411で丹波山村。今日は直進です。ここで小菅へ渡ってしまうと、帰りに同じ道を戻ることになります。
橋を過ぎてしばらく走ると、都県境を越えて山梨県丹波山村に入ります。
道の駅 たばやま【1駅目】:昼食は原木キクラゲのうどん
この日の1駅目、道の駅たばやまです。R411で唯一の道の駅で、丹波山温泉「のめこい湯」が併設されています。温泉に入ると確実に3駅目が飛ぶので、今回は横目に見るだけ。駐車場は100台ほど。
昼食はここにしました。もともとは次のこすげのレストランで食べるつもりだったのですが、素直にお腹が空いていたので予定変更です。
頼んだのは 特選原木キクラゲうどん、1,100円。

寄ってみると、このキクラゲの厚みです。

原木栽培のキクラゲは、いわゆる中華の細切りキクラゲとは別物です。肉厚で、噛むと「こりっ」ではなく「ぐにゅっ」に近い弾力があります。うどんの汁を吸ってもへたらない。キクラゲが主役になれる食べ物だと、正直あまり思っていなかったのですが、認識を改めました。
物産コーナーでは ふき味噌650円 と きくらげ生姜醤油864円 を購入。どちらもご飯に直行するタイプです。
ふき味噌は「農家の味自慢」と銘打たれた、作り手の名前が入っているタイプ。小さい瓶にみっちり詰まっています。

きくらげ生姜醤油のほうは「黒のきくらげ」という商品名で、きくらげ専門店のもの。瓶の中で、うどんに乗っていたのと同じ肉厚のキクラゲが生姜醤油に漬かっています。

うどんがおいしかったので、そのまま瓶で連れて帰ってきた形です。
締めに、期間限定の 白桃ソフトクリーム500円。

食べてすぐ分かりました。これはジェラート系です。空気を含んでふわっとしたソフトクリームではなく、密度が高くて、さらっと溶ける質感。白桃の香りはしっかりあります。
正直に書くと、私はジェラート系のソフトクリームがあまり好きではありません。なので評価は星3つ。おいしくないのではなく、好みの問題です。ジェラートが好きな人なら、これは当たりだと思います。
ここには丹波川に架かる吊り橋もあって、道の駅の脇から川へ降りられます。往復10分ほどですが、今回は寄りませんでした。温泉も吊り橋も、たばやまの見どころは丸ごと次回送りです。
滞在は40分ほどでした。
道の駅 こすげ【2駅目】:国道ステッカーがあった
たばやまからは**県道18号(上野原丹波山線)**へ。青梅街道をそのまま進むと甲府方面へ行ってしまうので、分岐に注意です。15分ほどで小菅村です。
こすげは物産館・源流レストラン・小菅の湯が隣接した、村の中心のような道の駅です。ベビーベッドがあります。この日のルート上でおむつ替えができるのはここだけなので、小さい子連れなら行程の組み立てはここを基準にするのが正解です。
計画では、ここの「源流レストラン」でヤマメのアンチョビピザを食べるつもりでした。たばやまでうどんを食べてしまったので、今回は未体験のまま。水曜定休で、土日祝は10:00〜17:00(ピザ・パスタは15:30まで)です。次に来たときの宿題にします。
物産館で エコバッグ550円 と ちびっこ味噌648円。
ちびっこ味噌というのは、キュウリの味噌漬けでした。名前から何が入っているのか分からないまま買ったのですが、開けてみたら青唐辛子入りのピリ辛味噌に、小ぶりのキュウリが丸ごと漬かっています。

「ピリ辛味噌が食欲をそそります」とパッケージにあります。開封後は冷蔵で10日ほどが目安。
昼食はたばやまで済ませていましたが、ここでも軽食を買いました。鹿肉まんです。

見た目は、言われなければふつうの肉まんです。
そして食べても、ほぼふつうの肉まんでした。心配していた獣くささはまったくありません。ジビエが苦手な人でも問題なく食べられます。
ただ、鹿らしさもありませんでした。豚まんより少し肉が硬い。違いといえばそれくらいです。獣くささがないのは加工の腕なのでしょうが、その代わりに鹿である理由も抜けてしまった。わさび豚まんと同じ感想になりますが、おいしいことはおいしいです。
それと、揚げたてのコロッケ。道の駅に来るとつい買ってしまうものの筆頭です。

そして、ここで思わぬものを見つけました。国道ステッカーです。
国道の標識(おにぎり)をそのままデザインにしたステッカーで、路線ごとに売られています。買ったのは139号。この道の駅が面している国道で、このあと松姫トンネルを抜けて大月へ向かう、まさにその道です。今日走る道の番号が売られている。これは買うしかありません。
そして、集めたステッカーを貼っていく専用のホルダーまで置いてありました。3,850円。ステッカー1枚が数百円なのに対してなかなかの値段ですが、これを買った時点で「集める」側に回ったということです。ステッカー本体550円と合わせて、2点で4,400円でした。

そして、これがホルダーです。表紙は道路。潔い。

滞在は45分ほどでした。
道の駅 つる【3駅目】:またステッカーを買う
小菅からは国道139号・松姫トンネルです。全長3,066m。2014年の開通でこのトンネルができるまで、小菅から大月へは松姫峠を越えるしかありませんでした。今はトンネル一本で峠越えがなくなっています。旧道側は通行止めですが、トンネルで迂回するので関係ありません。
大月から都留へ。3駅目、道の駅つるです。

ここでの買い物は イギリスパン464円、それからまたしても国道ステッカー300円。コーヒーとカフェラテを各300円で買って、車に戻る前に一息つきました。
つるは3〜11月の土日祝が9:00〜18:30と遅くまで開いているので、夕方でも問題ありませんでした。開いている時間が長い道の駅は、行程の最後に置くと効きます。レストラン「お勝手場」は15:30までなので、食事目当てならもっと早く着く必要があります。
中央道の都留ICはすぐそこ。ここから高速で帰路につきました。ドアからドアで、この日の行動時間は9時間15分でした。
まとめ
| スポット | ハイライト | 滞在時間 | 料金 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 日原鍾乳洞 | 都内最大級の洞内、約10℃の別世界 | 約1時間 | 大人900円/駐車無料 | 4〜11月9:00〜17:00(最終受付16:30)・無休。ベビーカー不可、抱っこ紐は「おんぶ」推奨。脱ぎ着できる薄手の1枚を |
| 道の駅 たばやま | 特選原木キクラゲうどん、白桃ソフト | 約40分 | うどん1,100円、白桃ソフト500円 | R411唯一の道の駅。のめこい湯・丹波川の吊り橋が併設(今回はどちらも寄らず)。駐車約100台 |
| 道の駅 こすげ | 鹿肉まん、国道ステッカー、ベビーベッド | 約45分 | ちびっこ味噌648円、国道ステッカー550円 | 源流レストランは水曜定休・土日祝10:00〜17:00(ピザ・パスタ15:30まで) |
| 道の駅 つる | 直売所、イギリスパン、コーヒー休憩 | 約30分 | イギリスパン464円、コーヒー300円 | 3〜11月の土日祝9:00〜18:30。中央道 都留ICから近い。「お勝手場」は15:30まで |
- 巡った道の駅:3駅(たばやま・こすげ・つる/いずれも山梨県)
- ルート:多摩地域 →(R411 青梅街道)→ 都道204号で日原鍾乳洞 → R411で奥多摩湖・深山橋 → たばやま → 県道18号 → こすげ → R139 松姫トンネル → 大月 → つる → 中央道で帰路
- 買ったもの:奥多摩湖のわさび豚まん、ふき味噌650円、きくらげ生姜醤油864円、白桃ソフト500円、エコバッグ550円、ちびっこ味噌648円、国道ステッカー用ホルダー3,850円、国道ステッカー2枚(550円・300円)、イギリスパン464円
- この日の支出(レシート分):14,441円(別途、高速料金とガソリン代)
- 行動時間:約9時間15分
道が細くて、洞内が10℃で、外はずっと雨。振り返るとそういう日でしたが、都内の地下にこんな空間が空いているのかという驚きと、原木キクラゲのうどんの意外さで、十分おつりが来ました。