はじめに ── 道の駅スタンプは、旅行する言い訳として、最高
道の駅スタンプラリーをやってみてわかったことがあります。
これをやっていなければ、そもそも行こうとも思わなかった場所に、行こうと思えるようになる。
特に「一泊しないと行けない距離のスタンプ」が強いです。日帰りでは届かないエリアは、普段なら最初から候補に入りません。でもスタンプが埋まっていれば、「泊まりで行こう」という気になる。スタンプラリーは、旅の言い訳として非常に優秀です。
今回もそうでした。
東北道沿いのスタンプが埋まっていませんでした。「那須・塩原方面に泊まりで行けば一気に埋められる」という逆算。観光ではなく、スタンプが動機の一泊二日です。
結果として那須・塩原・鬼怒川・日光をまわることになりました。
東北道のスタンプを刻む
多摩地域を早朝に出発。圏央道から東北道へ入ります。
東北道に乗ってからがスタンプの本番です。菖蒲PA、pasar羽生、佐野SA、都賀西方SA、大谷SA、上河内SA、矢板北SA。7か所を北上しながら順番に押していきます。
「スタンプのためだけに降りる」を7回繰り返す。傍から見れば相当おかしい行動ですが、1か所ごとにスタンプ帳のマスが埋まっていくのが地味に気持ちいいです。
pasar羽生はSAとは思えないほど洒落なつくりで、ミッチーというマスコットキャラがいます。佐野SAには「さのまる」の銅像がありました。上河内SAは宇都宮餃子の幟がいたるところに立っていて、宇都宮圏に入ったことを実感します。






那須エリア
道の駅 那須野が原博物館
矢板北ICで降り、那須エリアへ。最初のスポットは道の駅那須野が原博物館です。
「道の駅」と聞くと、レストランや地元野菜の直売コーナー、土産物グッズが並ぶ施設を想像します。でもここは違いました。建物に入ると、あるのは博物館と情報センターのみ。本当にそれだけです。道の駅に博物館が併設されているというより、博物館が道の駅として登録されている場所です。
お昼ごはんを食べるつもりでいたのですが、食べれずじまいでした。
入場料は一般300円。
世界の人形展、そして那須野が原の開拓史がテーマで、明治時代に荒れ地だったこの地がどう農地になっていったかを知ることができます。

千本松牧場
続いて千本松牧場へ。那須塩原市内の広い緑の中にある牧場です。入園は無料。
駐車場に入ってすぐ目に入るのが、牛柄の郵便ポストです。牧場のシンボルらしく、記念撮影スポットになっていました。

食事処「もみじ亭」で昼食にしました。かき揚げ御膳(1,600円)を注文。そばにかき揚げ、大根おろし、わさびが付いて、デザートのまんじゅうまで出てきます。

食後は動物エリアへ。ウサギやアルパカに会えます。

白いアルパカが近くまで来てくれました。毛の量がすごいです。

最後にソフトクリーム。いちごとバニラの2種類があります。

ピンク色がきれいないちごソフトを選んだのですが、いちごの風味がミルクに対し少し主張しすぎている感じでした。バニラを食べて満足したあととかに食べる方が良いかもしれません。

バニラのほうが、ミルクの旨みがそのまま出ていて美味しかったです。次来るならバニラ一択です。
もみじ谷大吊橋・塩原ダム
千本松牧場から塩原方面へ向かい、もみじ谷大吊橋へ。
渡橋料は大人300円・中学生以下200円。全長320m、高さ約40mの吊橋で、「日本一の吊橋」という碑が入口に立っていました。

橋を渡ると、ダム湖が眼下に広がります。

橋の先には塩原ダム(もみじ谷ダム)があります。ダムカードは管理棟で配布していました。受付時間は10:00〜14:45で、水曜・木曜は休みです。
14:50に到着し絶望。ここまで来たのに!?
もみじ谷大吊橋の入口で説明するとダムカードをもらえました。よかった。よかった。

塩原の静かな衰退
吊り橋を渡り終えると、そのまま塩原温泉郷に入ります。
最初の印象は「人がいない」でした。
川沿いに旅館が続く温泉街の典型的な景色ですが、歩いている人がほとんどいません。昼間でも廃業した旅館やホテルが目立ちます。そもそも商店がほとんど見当たらない。

廃ホテルが散在しています。一箇所にまとまって廃墟があるのとは違う。生きている旅館と廃業した建物が点在している景色は、独特の寂しさがあります。

少し考えてみると、課題は2つに絞られる気がしました。
ひとつは駐車場。川沿いの細い道に旅館が並ぶ地形で、車で来たファミリーが気軽に立ち寄れる駐車スペースが少ない。日帰り客を受け入れるインフラが育っていません。
もうひとつは鉄道がないこと。最寄り駅は西那須野か黒磯で、そこからバスに乗り換えが必要です。車を持たない若者がふらりと来られない。陸の孤島に近い立地です。
このとき、15年ほど前に行った鬼怒川の記憶がよぎりました。あの頃の鬼怒川も、廃墟のようなホテルが目立っていた気がします。
この日は塩原のホテルに宿泊しました。露天風呂がないホテルでした。残念。 でもホテルの窓から望む塩原は絶景でした。
夜、スタンプラリー帳を広げてみました。もともと翌日は来た道を東に戻る予定でした。でもスタンプの地図を眺めていると、湯西川から南に下るルートを通れば、鬼怒川・日光のスタンプも拾えることに気づきました。
予定変更です。
2日目 ── 湯西川から南へ
道の駅 湯西川
2日目の朝、塩原を出て北西の湯西川へ向かいます。
山がどんどん深くなります。道が細くなっていきます。川に合流すると川沿いに南に下ります。 湯西川温泉は平家の落人が隠れ住んだという伝説のある集落です。
道の駅湯西川は、その入口にあります。

道の駅に日帰り温泉施設と足湯が併設されています。朝から足湯に浸かれます。

日帰り温泉も入れます。山奥の道の駅にしては設備が充実しています。

湯西川を出て、南へ下ります。途中、五十里湖が見えました。湖底の一部が露出していて、水位の低さが一目でわかります。先日の宮ヶ瀬ダムも貯水率47%でした。今年は水不足が深刻なようです。
鬼怒川、意外と元気だった件
湯西川から南下し、鬼怒川温泉へ。
鬼怒川は実に15年ぶりでした。当時はバブルが弾けたあとの鬼怒川で、廃墟が増えていたタイミングだったので衝撃を受けた記憶があります。
そして久々に来てみて──
「あれ、思ったより人がいる」というのが第一印象でした。
前日の塩原と比べてしまうせいもありますが、明らかに違います。温泉街に人が歩いている。土産物屋が開いている。月曜日なのに、20〜30代の若者の姿がちらほらと見えました。
逆にインバウンドの客はほとんどいなかったように思います。

廃業したホテルもあります。

でも廃墟の隣で大型ホテルが普通に営業している。

なぜ鬼怒川は塩原と違うのか。観察していると2つの理由が浮かびます。
ひとつは集落の規模。鬼怒川には生活者がいます。商店があり、飲食店があり、生活インフラが回っている。人口の厚みが観光地を支えているように見えます。
もうひとつは鉄道。東武鉄道が浅草から直通で来ています。

車を持たない若者でも来られる。それは大きい。塩原との直線距離は30kmほどしかありません。でも鉄道の有無が、客層をまったく変えていました。
道の駅 日光「ニコニコ本陣」
鬼怒川を後にして、日光市街へ。道の駅日光「ニコニコ本陣」に寄りました。

明るい木造建築で、観光地らしい雰囲気です。

日光の名物が一通り揃っています。ここの道の駅は、湯波の蕎麦がおすすめなようでしたが、昨日すでに蕎麦を食べていたので今回はパスしました。道の駅のお弁当をいくつか買って、外のテーブルでお昼にしました。
日光の「ゆば」は「湯波」と書きます。京都の「湯葉」とは別物で、日光では独自に発展した食文化として区別されています。
ゆばむすびを食べました。

とちあいかのサンドイッチも。とちあいかは栃木生まれのイチゴです。

日光プリンも外しませんでした。 いちごがすごくプリンとあっていて、美味しかったです。結構甘いので、コーヒーや紅茶と合いそうです。

日光東照宮
旅の締めくくりは日光東照宮です。日光東照宮も15年ぶり。人生で三回目の訪問。欧米人の旅行者が多かったです。楽しそうでした。
拝観料は大人1,300円。
一の鳥居をくぐると、いきなり杉並木の荘厳さに包まれます。

五重塔が視界に入ってきます。赤と緑の色彩が、曇り空でも鮮やかです。

「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿は入ってすぐ左手にいます。思ったより小さいのと、見猿聞か猿言わ猿以外にも猿がいることを改めて確認。この猿はなんなんだろう?

陽明門は圧巻です。彫刻の密度が、他のどことも違います。

眠り猫を見ようと、奥社への階段を登ります。100段以上あり、手すりがないのでなかなか体力を使います。
登り切ったところで、ふと看板を見ると「眠り猫は200段下にあります」。
登る前に見られた、ということです。完全に見落としていました。
下山して確認すると、階段の入口付近に確かに鎮座していました。近くにいた別の観光客も同じ反応をしていたので、見落としやすいスポットのようです。

まとめ
スタンプのためだけに来た旅のはずでした。
帰りの車の中では、塩原と鬼怒川の差のことを考えていました。東照宮の格の違いも。どれも、スタンプを埋めるためにこの地域を選ばなければ、気にも留めなかったことです。
目的地を決めるのはスタンプで、気づきは現地でもらう。この旅の収穫は、そこにありました。
次はどこに行こうか。
